雪見障子で楽しむ和の装い|猫間障子との違いや張り替え方を詳しく紹介

和の装いを楽しむ障子のある暮らしは、日常の中にどこかほっと一息つけるくつろぎを与えてくれます。中でもガラスをはめ込んだ「雪見障子」は、外の景色も楽しみたいという先人たちの思いを込めた、機能美あふれる日本の伝統的な障子です。
今回は、雪見障子の魅力や特徴について詳しく解説します。一見似ている猫間障子との違いや、雪見障子以外におすすめなデザイン性の高い障子も紹介しますので、和の風情を楽しむ住まいづくりの参考にしてください。
雪見障子とは

雪見障子とは、障子の下部分にガラスをはめ込んだ障子のこと。木枠に障子紙を貼り付ける障子は、閉めたままでも適度な明るさを得られますが、外の景色は楽しめません。せっかくなら、丹精込めた庭木の美しさや冬特有の雪景色を、室内からも楽しみたい――そんな思いから生まれたのが「雪見障子」です。
ガラスをはめ込んだ雪見障子はモダンな印象がプラスされ、現代の住まいにもよく合います。雪見障子は日本の伝統的な建具の中でも、和の装いを日常に取り入れやすい障子です。
猫間障子との違いとは?
雪見障子とよく似たものに、「猫間障子」と呼ばれるものがあります。猫間障子の由来には諸説ありますが、もともとは、障子を閉め切った部屋に猫が出入りする際に障子紙を破らないよう工夫された障子でした。その後デザイン性の高さを目的に、雪見障子のようにガラスがはめ込まれるようになった、とも言われています。
本来、ガラスをはめ込んだ障子は雪見障子のみでしたが、隙間風の防止や断熱性向上を目的に、猫間障子もガラスをはめ込むタイプが主流になってきました。ガラスを動かせないものが「雪見障子」、スライドできるものが「猫間障子」といった違いはありますが、最近ではこの区別があまり意識されず、どちらも同じように使われることが多くなっています。
自分でできる!雪見障子の張り替え方

障子を長くきれいな状態で使い続けるためには、障子紙を定期的に張り替えることが大切です。ガラスをはめ込んだ雪見障子も、基本的な張り替え方は一般的な障子と変わりません。
ただしスライドする小障子がある場合は、まずスライド部分の取り外しから行います。張り替えの手順を、「スライド部分(小障子)の外し方」と「障子紙の張り替え方」の2つから見ていきましょう。
スライド部分(小障子)の外し方
スライドする小障子は、以下の手順で取り外します。
- スライドする小障子の左右を確認し、どちらの溝が深いかを確認する
- 溝が深い方に小障子を横向きに押し込み、反対側を枠から少しずらすようにする
- ずらした部分を手前に引き出して取り外す
小障子をはじめて外す場合は、この手順で問題なく取り外せるはずです。ただし、2回目以降にこの手順で外せない場合は、前回小障子を戻す際に向きを間違えてしまった可能性があります。
雪見障子の桟に彫られた溝には、小障子を支える小さなバネが弓なりにつけられています。取り付け時にバネの位置がずれてしまうと、スライドさせる際に引っかかり、横に押し込んでずらすだけでは小障子を外せません。カッターの歯の背中部分など、薄くて固い素材を差し込んでバネを平らにならし、小障子を外しましょう。
障子は構造がシンプルなだけに、溝の深さの違いで前後を見分ける繊細な建具です。もし途中で取り外しが難しいと感じた場合は、無理をせず、専門の業者に相談することをおすすめします。
障子紙の張り替え手順
スライド部分の小障子を外したら、通常の障子紙の張り替えと同じ手順で進めます。
- 障子紙やはがし剤、障子のりや両面テープ、カッターといった必要な道具を揃える
- 古い障子紙をはがす
- 障子紙をテープで仮止めする
- 両面テープやのりで桟に障子紙を貼り付ける
- 上から指で押さえてしっかりと貼り付ける
手順の詳細や注意点については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひ張り替えの参考にしてください。
雪見障子を新調するなら?価格の目安と選び方

雪見障子は、ガラスをはめ込んだり一部スライドできる場所があったりと、デザインと機能面にこだわった障子です。
一般的な障子の中でも、縦と横の枠組み(組子)の数が少ないものを「荒間障子」と呼びますが、この荒間障子を新調する場合の費用は、およそ35,000〜45,000円。雪見障子の場合は、およそ45,000〜60,000円が目安です。
雪見障子の価格は、使用する木材や障子紙の種類によっても変わってきます。金額はあくまで参考としてお考えください。
雪見障子だけじゃない!おしゃれなデザインの障子を紹介

雪見障子は、和の趣きとデザイン性の高さのどちらも楽しめますが、実は雪見障子以外にもデザインにこだわった障子は多くあります。雪見障子以外にもおすすめしたい、デザインがおしゃれな3つの障子を見ていきましょう。
丸窓障子|柔らかくモダンな印象
丸窓障子とは、円のデザインが印象的な丸窓と組み合わせた障子のこと。禅の思想で「悟りの境地」や「完全」をあらわす円は、和室にとって特別なもの。障子紙を通して差し込む柔らかな光が和室を包み、「円」から感じる静謐さが空間にモダンな印象を添える障子です。
吹寄せ障子|遊び心あるデザイン
吹寄せ障子とは、通常は等間隔で配置される障子の枠組み(組子)を、数本まとめて1組みとして配置した障子のこと。間隔の広い部分と狭い部分の両方ができるため、デザインに独特なリズムが生まれモダンな空間によく合います。純和風建築だけでなく、現代的な建築とも相性のよい障子です。
吉村障子|洗練されたシンプルさが魅力
吉村障子とは、障子の内枠と外枠の寸法を揃え、数枚並べたときに一続きの障子に見えるようにこだわったデザインの障子のこと。日本の著名な建築家、吉村順三氏が考案したことから、吉村障子の名がついています。光を通したときのシルエットの美しさにもこだわり、磨き上げられたシンプルさが魅力の障子です。
吉村障子×吉野杉で魅せる「吉吉障子」に注目!

障子が生み出す和の雰囲気や、シンプルなデザインの美しさを求める方にぜひご紹介したいのが、杉野製作所が手がける「吉吉障子」です。シンプルさの中にデザイン性の高さが光る吉村障子に、古来からの杉の名産地として有名な「吉野杉」を組み合わせ、杉野製作所がオリジナルの障子を生み出しました。
素材の魅力を引き出す上質なつくり

杉野製作所が手がける「吉吉障子」は、何よりもまず使用する素材の上質さにこだわりました。
- 室町時代から続く杉の名産地、奈良県吉野地方産の高級素材「吉野杉」
- 日本三大和紙の1つで、1,000年以上の歴史をもつ高知県土佐地方の「土佐和紙」
吉村障子の特徴は、カマチと組子のどちらも18mmに統一したデザイン。ゆったりと余裕をもたせて設定した組子が空間を彩り洋室にも合うモダンな印象を叶えています。
施工事例で見る吉吉障子のある暮らし

実際の施工事例で見てみると、吉吉障子がいかに現代の住まいに合っているかがよくわかります。こちらは3枚の吉吉障子を、引き違い戸として設置した事例です。横幅を広く取った印象的な窓に差し込む光によって、障子のシルエットが柔らかく浮かび上がっています。

障子をすべて閉めたときの印象はさらに格別で、すべての障子が一続きに見えます。カマチと組子の寸法が均一だからこそ生み出せる連続性は、洗練されたモダンスタイルの印象をさらに高めてくれるでしょう。
掲載事例|吉吉障子 新築 3枚引き違い
雪見障子やデザイン性の高い障子で心が和む住まいづくりを

障子は和風建築に使われるイメージが強い建具ですが、雪見障子やモダンスタイルに合う吉吉障子なら、現代の住まいにも自然に馴染み、空間の印象をより上質にしてくれます。
吉村障子の美しいデザインと、吉野杉の高品質にこだわった吉吉障子は、杉野製作所オリジナルの障子です。吉吉障子を日常に取り入れたい方は、ぜひお気軽に杉野製作所までお問い合わせください。