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杉野製作所
SUGINO DOOR
天然素材の無垢材を使用した木製ドアを職人が1枚1枚丁寧に製作する木製ドアメーカー、杉野製作所が【心地のいい暮らし】をテーマにお役立ち情報をお届けします。

〒879-1124 大分県宇佐市山178-1
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障子と襖の違いとは?日本の建具の歴史と現代の住まいでの活かし方を紹介

和風建築に欠かせない建具として、古くから親しまれてきた障子と襖(ふすま)。日本人にとって馴染み深い存在ですが、両者を比べてみると、役割や素材の違いをはじめ、歴史的な背景まで意外な発見があります。

今回は、障子と襖の違いを整理しながら、それぞれの魅力を解説します。現代の住まいに合った障子の活かし方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

障子と襖は何が違う?

障子と襖は、役割によって設置場所や素材が異なります。役割・構造・素材の3つの視点から、障子と襖の違いを詳しく見ていきましょう。

1.役割の違い

障子と襖は、いずれも木枠に紙を貼り付けて作られますが、それぞれ役割が以下のように異なります。

障子の役割襖の役割
光を通し、採光を確保する
「外」と「内」の境目に使われ、外と内を分ける
光を遮ってプライバシーを確保する
室内の間仕切りとして使用し、「部屋」を分ける

障子は窓や縁側などに設置し、外と内を分ける役目をもっています。それに対して、室内に設置される襖の役割は、空間を「部屋」として分けることです。異なる役割に合わせて、障子は採光を重視した軽やかなつくりになっており、襖は丈夫でプライバシーをしっかりと確保できるつくりになっています。

2.構造の違い

障子は光を通すために、薄手の和紙(障子紙)を使っています。一方、襖は木枠に下張りや襖紙を重ねた厚みのある構造です。どちらも外側を丈夫な框(かまち)で囲み、内側に「組子」と呼ばれる格子を設けて下地にします。

襖の場合、組子の上から芯材を貼り付け、その上から襖紙や布を貼っていきます。芯材に使われる素材は、ベニヤ板やダンボールをはじめ、チップボールというボール紙の一種や発泡スチロールなどが一般的です。襖は内側に芯材を入れるため、障子のように光を通さず、空間を仕切る丈夫な造りになっています。

一方、障子は組子の上から障子紙を貼るシンプルな構造をしているため、障子紙の張り替えも比較的簡単にできるのが特徴です。

障子紙の張り替え手順についてはこちらから

>>障子紙の張り替えは自分でできる?難しい?障子で叶える和の暮らし

3.素材の違い

外と内の境に設置する障子には、光を通しやすい障子紙が使われ、空間を仕切る襖には、丈夫で光を通さない芯材や厚手の襖紙が使われます。また、外の景色を楽しめるように、部分的にガラスをはめ込んだ「雪見障子」というものも障子の一種です。

採光を重視する障子は、透かし模様を入れた障子紙など、陰翳の美しさを活かしたデザインもあります。襖は紙ではなく布を貼ったタイプもあり、表面に絵を描いた「襖絵」も魅力的です。

雪見障子についてはこちらから

>>雪見障子で楽しむ和の装い|猫間障子との違いや張り替え方を詳しく紹介

襖障子とは?歴史から見る障子と襖の違い

実は障子と襖は、もともとは同じ「障子」と呼ばれる建具だったとされています。

平安時代の初期には、衝立を含む視線や風通し、採光を遮るものを統一して「障子」と呼んでいました。中でも、寝所で使われていたのが、当時寝具としていた衾(ふすま)から名をとった「衾(ふすま)障子」です。やがて時代とともに、「裏地付きの着物」をあらわす現在の「襖」という漢字が使われるようになり、「襖障子」と呼ばれるようになりました。

唐との交易で文様の入った「唐紙(からかみ)」が流通すると、唐紙を使った障子を「唐紙障子」、従来の絹織物を使ったものを「襖障子」と呼んで区別するようになりました。

紙すきの技術が向上して透過性を増すと、唐紙障子はやがて「明かり障子」と呼ばれるようになり、これが今日の「障子」の原型になったといわれています。その後、人々の生活に障子が広く浸透していく中で、「唐紙障子」と「襖障子」の区別は次第になくなり、現在の「襖」へとつながっていきました。

障子と襖の違いから見る特徴

伝統的な建具である障子と襖は、主に「光を採り入れる」障子と、「間仕切りやプライバシーの確保」を目的とする襖として発展してきました。

杉野製作所では現在、襖は取り扱っていませんが、障子と襖それぞれの特徴を知ることで、障子の魅力をより感じていただけます。ここでは障子のメリットや注意点を中心に、襖の特徴にも触れながら両者を比較します。

障子のメリット

障子は外からの光をやわらかく採り入れ、部屋全体を心地よい明るさで包んでくれます。通気性も高く、風を適度に通しながら視線を遮るため、湿度が高くなりやすい日本の気候にも適した建具です。

さらに、シンプルな構造で障子紙の張り替えもしやすく、定期的なメンテナンスで長年愛着をもって使い続けられます。長く継続して使えるため、エコでサステナブルな住まいづくりに関心のある方からも選ばれています。

障子の注意点

障子は和紙を使っているため、破れやすい点には注意が必要です。特に小さなお子さまやペットがいるご家庭では、思わぬ補修や張り替えの手間が増えることもあります。破れにくい強化紙やプラスチック素材を使用した障子紙もありますので、必要に応じて障子紙の種類を選んでいくとよいでしょう。

障子紙の種類についてはこちらから

>>障子紙にも種類がある?障子紙の種類・特徴や選び方について解説

襖の特徴

部屋を仕切る間仕切りとして発展した襖は、障子よりも遮蔽性が高く、視線や音を遮るのに適しています。主に寝室や客間など、プライバシーを重視する場所で使われてきましたが、フローリング敷きの洋室が主流になると、やがて引き戸が多く選ばれるようになってきました。

障子と襖の組み合わせによる和の印象は趣深く、料亭や旅館などの特別な場所で、襖は現在も大切に使われています。

障子は現代の住まいにも合う?「障子×引き戸」のススメ

採光性を重視し、外と内をわける建具として使われてきた障子は、現代の住宅にも最適な建具です。程よく光を通す軽やかで、和室だけでなく、リビング横の畳スペースやフローリング敷きの洋間にもよく合います。

モダンテイストと和テイストを組み合わせた「和モダン」をはじめ、北欧スタイルと和テイストを組み合わせた「ジャパンディ」スタイルでも、障子は人気の建具です。

障子におすすめのインテリアテイストについてはこちらから

>>障子とデザインで楽しむこだわりの空間作り。おすすめのテイストや事例を紹介

障子は調湿効果が高く、断熱性も期待できますので、カーテンの代わりにサッシ窓の内側に取り付けるのも効果的です。また、引き戸のように、障子を部屋の間仕切りとして設置するのもよいでしょう。引き戸と同じように横にスライドさせて開閉する障子は、力の弱いお子さまや高齢の方、車いすの方でも楽に開け閉めできる建具で、バリアフリーにも対応できます。

掲載事例|特注 杉 障子 枠セット

引き戸ではなく障子を選ぶことで、こちらの事例のようにやわらかい光で包みこまれた、印象的な空間になるでしょう。

【実例紹介】現代の住まいで活きる障子

建物のスタイルを問わない障子は、現代の住まいにも取り入れやすく、落ち着きや心地よさを演出してくれます。ここからは、実際の施工事例を元に、現代の住まいと障子の組み合わせを見ていきましょう。

事例1.障子と木目の美しさが際立つ空間

こちらは上質さを感じるオーク材が印象的なしつらえに、障子を組み合わせた事例です。障子紙を通して室内に届く光もやわらかく、オーク材のナチュラルな印象を高めています。

スペースの限られた手洗い場の正面にも、障子を使用。障子は明るさを確保しつつ視線を遮るため、暗くなりがちな空間にも効果的に光を届けます。

右手のオーク材の引き戸も、杉野製作所が手がける木製ドア「MUKUICHI」を使用。オーク材の上質さと障子の落ち着いた趣がお互いのよさを引き立て、ナチュラルさの中にほっとしたくつろぎも感じられる空間になりました。

掲載事例|MUKUICHI ムクイチ オーク 引戸_開戸

事例2.間仕切りとして障子を活用した畳スペース

次にご紹介するのは、リビングに隣接した畳スペースの間仕切りに障子を使った事例です。明るい木肌が美しい上質なスプルース無垢材を使用し、モダンな装飾をあしらった障子に仕上げました。

3枚引き込み戸のスタイルを採用しているため、障子をすべて開けると畳スペースとリビングの間で視線が遮られず、室内をより開放的に感じられます。スプルースは針葉樹で直線的な木目が美しい素材です。明るい木目のフローリングや天井、印象的な無垢材の柱とも調和し、全体の統一感を高めています。

3枚の障子をすべて閉めたときも、障子ならではの透過性で圧迫感が軽減され、奥行き感のある上質な空間になりました。

掲載事例|DOAX シナ 片引戸 枠セット / 特注 スプルース 飾り入り障子 3枚引き込み 枠セット

伝統的な建具の魅力を伝える杉野製作所のものづくり

障子と襖はどちらも日本の伝統的な建具であり、採光の確保とプライバシーの確保という、それぞれの役割に沿って発展してきました。プライバシーの確保を重視してきた襖は、洋風建築が広まるにつれて引き戸に代わられるケースも多くなりましたが、障子は現代建築への合わせやすさもあり、今も広く好まれている建具です。


大分県宇佐市の杉野製作所では、伝統的な障子の魅力を今に伝えるため、オリジナルの「吉吉障子」をはじめ、魅力的な木製ドアを製作しています。木の質感にこだわった杉野製作所の障子やドアに興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修者

金谷悠司のアバター 金谷悠司 杉野製作所:専務取締役

天然素材の無垢材を使用した木製ドアメーカー、杉野製作所です。「良い住宅を造りたい」という強い想いのある人に選ばれるため、職人が1枚1枚丁寧にドアを製作しています。
【心地のいい暮らし】をテーマに、新築やリフォームの際の空間づくりに役立つ情報をお届けします。

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