吉村障子とは?一般的な障子との違いや現代住宅に合う魅力を徹底解説

「障子を住まいに取り入れてみたいけれど、和風過ぎる印象にはしたくない。モダンな住まいにも合うような、スタイリッシュな障子はないのかな?」
このような希望をお持ちの方におすすめしたいのが、現代の住まいにも合わせやすい「吉村障子」です。障子ならではの落ち着きがあり、和風建築はもちろん、ナチュラルテイストやモダンテイストなど、さまざまな空間に美しく調和すると注目されています。
今回は、吉村障子の特徴をはじめ、一般的な障子との違いや注意点を解説します。吉村障子をもとに杉野製作所が独自につくりあげた「吉吉障子」の事例も紹介しますので、モダンな障子をお探しの方はぜひ参考にしてください。
吉村障子とは

吉村障子は、日本の木造建築と欧米のモダニズムを融合させる、新しいスタイルを提案した建築家、吉村順三氏が考案した障子です。吉村順三氏が建築家を志したのは、帝国ホテルの設計の美しさに感銘を受けたことがきっかけと言われています。
吉村順三氏は日本のモダニズム建築の発展に大きく貢献し、18mmに統一された框と組子を特徴とする障子を考案しました。この障子は、閉じたときに1枚のパネルのように見えるデザインになっています。
連続性のあるデザインと、ゆとりある組子によって、吉村障子はさまざまなテイストの空間に取り入れやすい建具です。モダン建築に調和する「和」の装いで、意匠性の高いお気に入りの空間を実現します。
吉村障子の特徴|一般的な障子との違い

吉村障子は特徴的なデザインを持っているため、ポイントを押さえていれば一目で見分けられます。主な特徴は、次の3つです。
- 18mmに統一された、框や組子の見付寸法
- 閉じたときに「一枚の格子」に見える連続性
- 引き手をつけず、フラットに仕上げた設計
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
框や組子の見付寸法を18mmに統一
1つ目の特徴は、18mmに統一された框や組子の見付寸法です。框(かまち)とは障子の枠を構成する部材のことで、上下左右の4ヶ所で障子の枠をつくります。
組子とは、桟と呼ばれる細い木材を組み合わせてつくる装飾や、その部分をあらわす言葉です。一般的な障子でよく見られる長方形の組子のほか、斜めに桟を入れて伝統的な文様を描くデザイン性の高い組子もあります。
吉村障子は、框と組子を正面から見たときの見付寸法を「18mm」に統一しているため、全体にまとまりがあり、印象的なデザインとなっています。すっきりとしたデザインにより和風に偏りすぎず、モダン建築によく合う障子です。
閉じたときに「1枚のパネル」に見える連続性
2つ目の特徴は、寸法を統一した框や組子の効果で、障子を閉めたときに全体が1枚のパネルに見えること。一般的な障子は、框と組子の寸法が異なるため、離れて見ると障子1枚ごとの区別がはっきりわかります。

一方、框と組子の見付寸法を18mmに統一した吉村障子は、閉めたときに障子全体が1枚の連続したパネルのように見えるため、空間にシンプルさとスタイリッシュさを与えます。
引き手をつけないフラットな設計
すっきりとした框と組子のデザインをより際立たせるため、あえて引き手をつけないフラットな設計にしていることも、吉村障子の特徴の1つです。どこにでも指をかけて開閉できるため、使いやすさや機能性も高まっています。
吉村障子が現代の住宅に選ばれる理由

印象的なデザインの吉村障子は、現代の住宅にも取り入れやすい障子として注目されています。現代の住宅にも選ばれている理由を、詳しく見ていきましょう。
「和」に寄りすぎず多様な空間にマッチ
日本の伝統的な建具である障子は、住まいに取り入れるだけで空間に落ち着きや安らぎを演出してくれます。一方で、デザインや障子そのものの印象からどうしても和風に寄りやすく、現代のテイストに合わせる難しさもありました。
「和」に寄りすぎないスタイリッシュさを備えた吉村障子は、和風建築はもちろん、ナチュラルテイストやモダンテイストの空間など、さまざまな空間に調和します。どんなテイストにも馴染みやすい点も、選ばれている理由です。
サッシの金属部分を隠して木造に調和
現代の住宅では、障子はカーテンの代わりとして、窓サッシに重ねて取り付けるケースも多くあります。障子の枠と框が窓サッシの金属部分をうまく隠すため、室内から見たときの見栄えのよさも高まります。木造住宅の内装にも調和しやすい点も魅力です。
スタイリッシュさと落ち着きの両立
すっきりとした見た目を叶えるスタイリッシュさがありながら、天然素材を使用しているので、インテリアにどこかくつろぎと落ち着きを感じさせます。和に寄りすぎない中で演出できる障子ならではの落ち着きやくつろぎで、吉村障子は選ばれています。
吉村障子のデメリットや注意点
スタイリッシュなデザインが魅力的な一方で、特徴的であるからこそのデメリットや注意点もあります。吉村障子を検討するうえで知っておきたい、2つのポイントを見ていきましょう。
框が細く引き手がつけられない
引き手をつけないデザインは吉村障子の特徴の1つですが、框が18mmと細いため、引き手を取り付けることができません。薄く統一された寸法はデザインの重要な要素なので、事前に理解しておきましょう。
製作できる業者が限られる
18mmの寸法で統一された框と組子を作るには、繊細な技術が必要です。一般的な障子を扱う業者は多いですが、吉村障子を製作できる業者は限られてしまいます。製作している業者を見つけた場合は、連絡先などの情報を控えておくと安心です。
吉村障子×吉野杉|杉野製作所の「吉吉障子」を紹介

吉村障子のデザインの美しさに魅了され、杉野製作所ではこの度、吉村障子をベースにしたオリジナルの障子「吉吉(よしよし)障子」を生み出しました。
吉村障子の「吉」と、木目の美しい高級素材、吉野杉から「吉」の字をとって名づけた「吉吉障子」は、長年木材に親しんできた杉野製作所の職人の技術をこめた、こだわりの障子です。「吉吉障子」の特徴と魅力について、詳しく解説します。
デザインのベースは「吉村障子」

吉吉障子のデザインのベースは、モダンさとシンプルなスタイリッシュさが魅力の「吉村障子」。框と組子の見付寸法は18mmに揃え、ゆったりとした印象を得られるように、組子のピッチは広めに設定しました。
上質な空間を演出する吉吉障子は、どのようなテイストにも程よく馴染み、心地よい存在感で空間に安らぎを加えます。
日本の伝統素材「吉野杉」の美しさと質感

吉吉障子の素材には、伝統的な高級素材である「吉野杉」を選び、特に意匠性の高い赤身部分のみを使用しました。まっすぐに揃った木目の美しさはもちろん、吉野杉は経年とともに深みが増す、天然の木材ならではの魅力があります。
新築当時はもちろん、ご家族が過ごす時間とともに味わいを増していく吉野杉の風合いを、ぜひお楽しみください。
高級障子紙「土佐和紙(楮入り)」を使用

障子の美しさは、柔らかく光を取り込む障子紙によっても大きく左右されます。吉吉障子には、日本三大和紙の1つである「土佐和紙」の楮入り障子紙を採用しました。「紙の柔らかさを目で感じられる」ことを重視して選んだ、こだわりの障子紙です。
吉吉障子を取り入れた施工事例を紹介
ここからは、実際に杉野製作所の吉吉障子を使った施工事例をご紹介します。実際の住まいに取り入れるとどのような印象になるのか、ぜひその美しさを確認してみてください。
格子の連続性が美しい事例

こちらは、2m70cmにもおよぶワイドな空間いっぱいに、吉吉障子を取り入れた事例です。障子の奥に取り付けられたアルミサッシも、障子の木枠で金属部分がうまく隠され、空間に柔らかな上質さが加わっています。

障子をすべて閉めると、1枚のパネルのような連続性を感じられるのも、框と組子の寸法を統一した「吉村障子」ならではのデザインです。
掲載事例|吉吉障子 新築 3枚引き違い
丸窓との組み合わせが印象的な事例

丸窓と組み合わせて障子を取り入れるのも、伝統的に好まれてきた和のインテリアです。見慣れたはずの景色も、丸窓から覗くだけでいつもと違った雰囲気に感じられます。

丸窓と障子の組み合わせは、障子を閉めたときの光の入り込み方がまた格別です。上質な土佐和紙を使った吉吉障子だからこそ、差し込む光も一層柔らかく、まるで朧月のような印象を添えています。
掲載事例|吉吉障子 新築 引き分け
マンションリノベーションに取り入れた事例

既存のサッシの内側に取り付けられる障子は、実はマンションリノベーションでも活躍します。こちらは2面に渡るL型の大きな窓に吉吉障子を取り付け、都会的な生活の中に、上質なくつろぎの空間を演出しました。

障子をすべて閉めたときも、室外から柔らかく光を取り込みます。カーテンを設置するときと比べて空間の一体感が高まるため、インテリアに奥行きを感じられるマンションリノベーションになりました。
掲載事例|吉吉障子 マンションリノベ 入隅み納まり 引き込み戸
モダン建築に映える「吉吉障子」は杉野製作所にご相談ください

障子は「和」のものという印象を持たれがちですが、デザインによってはモダン建築にもよく合います。実際に取り入れることで、空間に柔らかな印象と上質さを加えることができます。
吉吉障子は、吉村障子のデザインをもとに杉野製作所が考案したオリジナルの障子です。さまざまなテイストの空間に調和する吉吉障子にご興味のある方は、杉野製作所までお気軽にお問い合わせください。